BitArts Blog

ロードバイク通勤のRubyプログラマで伊豆ダイバー。の個人的なブログ。

Gmailその後

数年遅れのGmailレビュー(ファーストインプレッション)。

満足な点

まず当然だけど検索が超快適。メールを探すには、受信リストを目視で探すよりも検索ボックスにさくっとキーワードを入れてしまう「ググるスタイル」によりメール管理が一変。するかもしれない。いや、するはず。検索が優れていれば、今まで重要だった分類管理など適当でも良くなるかもしれないし。

そして各所で言われている通り、メール分類手法としての「ラベル」方式が秀逸。従来の「フォルダ」方式と比べて、複数の「ラベル」を貼れるというのはもちろんすごく便利なんだけど、それだけでなく、フォルダ方式では最初にフォルダ構成を設計してしまうと途中から構成を変えるのが面倒だった。でもGmailのラベルなら、検索条件の設定を変えるだけでフィルタによるラベルの貼り替えがいつでも自由。その時その時の使いやすい分類管理ができる。

「検索+ラベル」により、「そのうち片付けますから」というズボラを超協力にサポートするシステムになっている。

あと最近、Labs機能でサイドバー位置にGoogleカレンダーなどを表示できるようになったみたい(⇒ 参照)。メールを読み書きしている時に、すぐ横に今後のスケジュールが表示されている環境は結構便利。というか超便利。

Labsには「かゆいところに手が届く」追加機能が色々と用意されているので、一通りチェックしてみることをお勧めする。Labsは一度設定言語をEnglish(US)にすると設定画面のタブに現れるよ。設定したら日本語に戻せばok。

不満な点

メールがプロポーショナルフォントで表示される。等幅フォントにしたい。まあこれはブラウザ側でCSSを指定すればいい話なのでほとんど問題ない(⇒ 参照)。

迷惑メールフィルタは評判通り強力だが誤検出もある。ごく普通の個人宛仕事メールが迷惑メールに入っててびっくりした。1日何百通もの迷惑メールがあるので、誤検出されると結構厳しい。迷惑扱いされた理由が分からないので対策しにくいんだけど、「連絡先」がホワイトリストになるようなので、知人のアドレスはできるだけ事前に登録しておいたほうが良さそうだ。それでも新規顧客からの重要な大型商談メールが迷惑メール扱いになるかもしれない。ということで「本文に自分の名前などが書かれていたら迷惑扱いしない」というフィルタを登録しておいた。これは大事かもしれない。(in:spam to:me {宮前 みやまえ "Tatsuya Miyamae" ビットアーツ} …って感じで)

Gmailで一番残念なのは、複数のメールアドレス管理がいまいちな点。まあフリーメールのサービスでこれができるだけでもすごい事なんだけど、欲を言うとこのへんがまだ弱い。やっぱり@gmail.comの利用が基本なんだろうな。「From:」は好きなアドレスを選択できるけど、シグネチャの切り替えはできない。さらに言えば、個人用と仕事用でメールアドレスを使い分ける用途ではやっぱりテンプレート機能まで欲しい。

でも「Gmail Template Switcher」←このGreasemonkeyスクリプトを使えば、かなり理想に近いマルチアドレス、テンプレート環境が実現できてしまう!ブラウザ環境に依存してしまうのでWebアプリとしてのメリットが損なわれるが、「Greasemonkeyを使えば色々カスタマイズもできちゃう」というのは、Webアプリならではのメリットでもある。

それから、前のエントリーのコメントで指摘された通り、Fromに独自のメールアドレスを使用していても、ヘッダに Sender: xxxxx@gmail.com が付加される。妥当な仕様だし個人的には不満はないけど気になる人はいる模様。これは送信先Google信者なら相手にプラス印象。アンチGoogleならマイナス印象をもたらす。もちろん使用上は全く問題ない。旧来のフリーメールサービスではFromに自由なアドレスを使うなどできなかったし、送信したメールには強制的に広告が入ったりしたものだ。

ところでSenderよりも本質的な、Recievedヘッダを見られて、メールアドレスと同じドメインのサーバ(自社サーバ)が中継しているのと、Gmailが中継しているのとでは、どっちのほうが信頼性が高い印象になるのだろう…深い、深いぞこれは。

不安な点

ストリートビューやマイマップの件など、ここ最近Googleという会社が個人情報やプライバシーを軽視しているような印象を与える事態が相次いでいて、Googleブランドの社会的な信頼、印象が悪化してきているかもしれない。Gmailを仕事などで使った場合、今後の如何によっては対外的な印象に影響があるかもしれない。昔のHotmailのように。ていうか昔のフリーメールがWebメールのイメージを悪くした元凶という気もするけど。

そもそも、メールシステム(SMTP)は仕組み上、かなり信頼性の低いものです。基本的に暗号化もされず平文のままネットワークを流れ、サーバのスプールにはテキストファイルのまま保管される。盗聴上等。そして送ったメールがいつ到着するのか、それどころかちゃんと到着することすら保証されない仕組みです。…なので、セキュリティについては割り切って(危険性を理解した上で)使うのが当たり前だったはず。サービスがちゃんと稼動してさえいれば、セキュリティの問題は、SMTPである以上最初から「安全など無い」と思ってあまり気にしないのが正しい使い方。

従来環境のメールとWebメールGmail)を比較すると、少なくともクライアント・サーバ間の通信にSSLが使えるわけで、例えば無線LANを盗聴されてメールが盗まれるようなリスクが小さい分は安全だと思う。

結論としてはGmailに今のところかなり満足している。今回書かなかったけど、携帯(EZweb)からの使用感も悪くない感じ。そろそろプロバイダ以外の恒久的メールアドレスを持とうとしている人や、Webメールへの移行を考えている人、そしてメーラ探しの永遠の旅人には非常に有力な選択肢なんじゃないかな。